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子供のインターネット利用時間について~実態調査に基づく現状と対策

はじめに

子供のインターネット利用時間が増加しているという話題は、多くの保護者の間でも関心が高まっています。オンライン学習や情報収集の機会が増えた一方、長時間にわたってインターネットを利用することによる様々なリスクが懸念されるようになっています。内閣府の「令和5年度 青少年インターネット利用環境実態調査」の速報結果を参考に、子供のインターネット利用時間が増加している現状と、そこから生じる問題点を中心に、具体的なデータとともに解説します。


子供のインターネット利用が増えている現状

近年、子供たちの生活環境は大きく変化しています。内閣府の調査によると、令和5年度時点で10歳から17歳までの青少年のスマートフォン所有率は約93.2%に達し、前年比で1.7ポイント上昇しています。特に小学生のスマートフォン所有率は年々上昇傾向にあり、インターネットに触れる年齢が以前よりも低下する傾向が明確になっています。

平日のインターネット利用時間は、高校生で平均4.2時間、中学生で3.5時間、小学生でも2.8時間に達しており、休日にはさらに増加し、高校生では平均6.7時間、中学生で5.8時間、小学生でも4.3時間に上ります。特筆すべき点として、1日5時間以上インターネットを利用する青少年の割合は、高校生で58.3%、中学生で42.1%にも達しています。

子供の年齢別インターネット利用状況(令和5年度調査)

年齢層 スマートフォン所有率 平日平均利用時間 休日平均利用時間 5時間以上利用する割合
小学生 65.7% 2.8時間 4.3時間 28.4%
中学生 89.5% 3.5時間 5.8時間 42.1%
高校生 98.6% 4.2時間 6.7時間 58.3%

インターネット利用増加の背景

  1. 学習環境のデジタル化

    GIGAスクール構想の本格実施により、児童生徒一人一台端末環境が整い、全国の公立学校におけるICT整備率は98.7%に達しています。オンライン授業やタブレット学習が普及し、学校教育でもデジタルツールの導入が進んでいます。調査によると、学習目的でのインターネット利用は全体の78.3%に上り、家庭環境でもインターネットアクセスが欠かせなくなっています。

  2. エンタメ・コミュニケーションツールの発展

    調査結果では、青少年のインターネット利用目的の上位は「動画視聴」(89.6%)、「ゲーム」(77.8%)、「SNSの利用」(72.5%)となっています。特に10代に人気のあるYouTubeの利用率は94.2%に達し、TikTokやLINEの利用も年々増加傾向にあります。

  3. ライフスタイルの変化

    コロナ禍を経て、オンラインでの活動が日常化し、青少年の63.7%が「外出時間が減った」と回答しています。また、家族との会話時間についても「減少した」と回答した青少年が37.9%に上り、オンラインコミュニケーションへの依存度が高まっています。


インターネット利用増加による問題点

子供たちがインターネットを使う際は、ただ時間が長いだけではなく、いくつか特有のリスクがあることを認識しておく必要があります。調査によると、以下の問題が顕在化しています:

1. 視力や身体への悪影響

長時間の画面視聴による健康問題を経験した青少年は全体の46.3%に上り、具体的には「目の疲れ・痛み」(38.7%)、「睡眠不足」(34.2%)、「肩こり・腰痛」(22.5%)などの症状が報告されています。特に1日5時間以上インターネットを利用する青少年では、これらの症状を訴える割合が1.5倍以上高くなっています。

2. トラブルや犯罪への巻き込まれ

調査では、青少年の16.3%が「知らない人からのメッセージや連絡」を受けた経験があると回答しています。また、SNS上でのいじめや誹謗中傷の被害経験者は7.8%、個人情報の流出を経験した青少年も5.2%に上ります。特にSNSを利用する12〜15歳の女子では、知らない人からの接触経験率が23.7%と高い数値を示しています。

3. 時間管理・生活リズムの乱れ

22時以降もインターネットを利用する青少年の割合は、高校生で76.4%、中学生で52.1%、小学生でも33.8%に達しています。また、「ネット利用をやめられない」という依存傾向を自覚している青少年は全体の39.5%にのぼり、その割合は前年比で3.2ポイント上昇しています。

4. 学習面での集中力の低下

「学業への影響」を感じている青少年は45.7%で、その内訳は「勉強時間の減少」(35.2%)、「集中力の低下」(28.9%)、「成績の低下」(19.3%)となっています。特に注目すべきは、1日4時間以上インターネットを利用する生徒の53.8%が学業への何らかの影響を自覚している点です。


保護者ができる対策

子供のインターネット利用を健全に保つためには、環境づくりとルールづくりの両面からアプローチすることが大切です。調査結果に基づく効果的な対策を以下にまとめます:

対策 詳細
利用時間の目安を設定する 調査によると、家庭でインターネット利用に関するルールを設けている割合は67.8%ですが、最も効果的なのは「利用時間の制限」で、これを実施している家庭では青少年の過度な利用が36.7%抑制されています。具体的には、平日2時間、休日3時間程度の上限設定が推奨されています。
利用内容の確認とフィルタリング フィルタリングサービスを利用している家庭は全体の53.4%にとどまっていますが、利用家庭では不適切サイトへのアクセスが78.3%減少するという結果が出ています。また、定期的に利用履歴を確認する保護者の子どもは、オンライントラブルの経験率が42.3%低いという相関関係も示されています。
デジタルリテラシー教育 インターネットリスクについて家庭で話し合いをしている割合は59.2%で、この取り組みを行っている家庭の青少年は、問題が生じた際に保護者に相談する割合が75.6%と高くなっています。特にSNSの適切な利用方法やプライバシー設定について教育することで、トラブル経験率が48.7%低下することが示されています。
オフライン活動の充実 週3回以上運動をする青少年のインターネット依存傾向は、運動習慣のない青少年と比較して31.5%低いという結果が出ています。また、家族との会話時間が1日30分以上ある青少年は、インターネット上の悩みを相談できる割合が68.9%と高く、精神的健康度も良好な傾向にあります。

まとめ

子供のインターネット利用時間が増えることは、決して悪い側面ばかりではありません。調査によれば、適切に活用している青少年の65.7%が「学習に役立っている」と回答し、47.3%が「新しい知識や視野が広がった」と肯定的な影響を実感しています。

一方で、利用時間が長くなるほど身体的・精神的な問題が増加する相関関係も明らかになっており、特に1日4時間を超える利用では様々なリスクが顕著に高まります。保護者の方々には、子供の生活環境に合わせてルールや使い方を見直し、積極的に対話を重ねることが求められます。

内閣府の調査結果では、保護者がインターネット利用に関心を示し、適切なルール設定をしている家庭の青少年は、健全なデジタルリテラシーを身につけ、インターネットの恩恵を最大限に享受しながらもリスクを最小化できていることが示されています。バランスの取れたアプローチで、デジタル時代を賢く生きる力を子どもたちに育んでいきましょう。

※スマホ利用の危険性についてはこちらを参照してください。



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担当)プロ教師 近江直樹

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参照:URLをクリック↓

「青少年のインターネット利用環境実態調査」調査票・調査結果等|こども家庭庁

R06_速報_青少年インターネット利用環境実態調査_調査結果

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