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新・我が家の本棚 Ⅱ 【江戸のお伽話編】

新・我が家の本棚 Ⅱ 【江戸のお伽話編】
今回ご紹介するのは【江戸ふしぎ草子 著者 海野 弘 河出書房新社】です。
初版は1995年で、資生堂発行の雑誌「花椿」に連載された「にっぽん草子」を改題し加筆構成され発行されたものです。
『結び人、煙芸師、仕組屋……どこか奇妙な江戸の職人たちを中心に、飄々と生きる庶民の日常を描く』
帯のそんな文言と「江戸のお伽話」の文字、装画にひかれ購入したものの、お伽話とはいっても完全に大人向けで漢字や表現も難しいと感じてしまい、当時はほとんど読まずに本棚に眠っていたものです。
実話のような作り話、作り話のような実話、居そうにないけれど居たのかもしれない登場人物、フィクションともノンフィクションともどちらとも判断し難い「お伽話」が20話、収められています。
 
『結び人 いかなるものでも自在に結ぶ名人がいた。紐や帯だけでなく、男と女をつなぐ糸も結んではほどいてみせた。』
『蠅とり武士 老中田沼意次が賄賂政治を行った時代に、剣術の名人がいた。太平の世に彼の技は無用である。しかし、思いがけない職が待っていた。』
『生人形師 雨の夜、人形師が一人の尼を泊める。そして尼にとりついている恐ろしい手首の物語を聞く。彼はやがて、生きているような人形を作り上げる。』
『枕売り 江戸の町には、大きな箱にいろいろな枕を詰めて、売りにくる行商人がいた。その枕をして寝ると望みの夢を見ることができるという。』(目次より)
 
1話につきふたつ、内容に沿った歴史的事実が絵付きで紹介されていて、歴史の教科書では学ばないであろう江戸の世の一部を学ぶこともできます。
 
265年の永きにわたり続いた江戸の庶民の生活や文化に触れ、生きる苦しみや楽しみ、葛藤と絶望、それでも生き続ける人間の強さ、そういったことが感じられ、時代も変わり今となっては本当にただの「お伽話」ではあっても、生きる術生きる知恵をもって生きぬいた江戸庶民に、生きる力をもらえるような気がします。
 
江戸の不思議なお伽話、ちょっとだけ日常から離れて楽しむことのできる大人向けの一冊です。
~工藤先生より~

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