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禍?福?

未だ不安定な情勢が続いて

コロナ禍

という単語が定着してしまいましたが、
医療が発達していなかった時代はどうしていたのか
という話題もわりとよく見かけます。
私は世界史には疎いのですが、
日本においては
はやり病は文化と結びつく
ということが近代以前の歴史的事実だと思えます。
問題は今も昔も混乱によるストレスのようで
その対処法としての民衆レベルでの表現なり、政治的行事なり…。

 

そして気になったことは「禍」という言葉。
なぜかというと、
『日本紀略』天徳三年(959年)に関する最後の一文にこんな表現を見つけたからです。

 

「今年、人民の頸腫れ、世 福来病 と号す」

(現代語訳:この年、国民のくび筋が腫れ、世の人々は「福来病」と呼んだ。)

 

おたふく風邪がはやり、

当時の美形と言われる「しもぶくれ」顔になったから「福来病」と呼ばれた。

「コロナ禍」の:神のとがめ。災い。

「福来病」の:神からさずかる助け。しあわせ。

この対比が不思議に思えたのです。

 

ここから平安貴族の平和ボケを感じるのは少し違う気がしてしまうのです。
あくまで、おたふく風邪がはやったのは貴族ではなく民衆であり、
ここに大きな格差が存在し、
病気で一時的に貴族同様の「美形」となった
それを「福」と呼んだ。
それを悲しく思うか、たくましさと捉えるか…
私は後者が結局は時代の推進力となってきたのだろうと思うのです。
理不尽な状況下で
泣いても怒っても愚痴を言っても後ろ向きになっても
それすら利用して
前に進む
そのシンボルが文化なのだと思うのです。

 

100th クラT に寄せて
A LADY OF VIRTUE

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参考文献
「國史大系 第十一巻 日本紀略 後篇 百鍊抄」(吉川弘文館)
「漢語林 改訂版」(大修館書店)

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