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学部+修士5年一貫制度の制度化について

文部科学省は、学部4年+修士2年を通常とする構造を見直し、「5年一貫で学士・修士を修了可能とする制度」を制度化する方針を固め、2026年度導入を目指しています。短縮によって大学院進学を促し、専門性ある人材育成を図る意図が背景にあります。本稿では、制度の趣旨・既存事例・想定される課題・家庭と学校で意識すべき視点を整理します。
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今回わかったこと
- 文科省は、学部+修士を5年一貫とする制度を2026年度から運用開始する方針を示しています。
- 導入にあたっては、大学院設置基準の改正が不可欠であり、希望大学が申請し認定を受ける方式が想定されています。
- 既に複数大学で「学部4年次に大学院科目を履修 → 修士を1年で修了」する形式の5年一貫制度が存在します。
- 文科省資料では、「先取り履修単位の認定」「早期学位取得申請」などの条件設定案が示されています。
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先行大学の共通点と示唆
大学/プログラム | 特徴・方式 | 共通点・示唆 |
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広島大学 | 学部4年次に大学院科目15単位を履修、修士課程に単位を含める方式 | 学部と大学院の科目接続性を前提に設計 |
帝京大学 | 成績優秀者が4年次から大学院科目履修可 | 選抜制・成績基準の明確化 |
早稲田大学 | 学部+修士を5年で修了するモデルを提案 | 制度運用ルールを早期に公開し、議論を誘導 |
武蔵野美術大学 | 学部4年次から大学院科目を履修し5年で修了 | 美術系でも先取り履修+限定適用で実現 |
これらの大学では、制度を全員適用ではなく選抜制とし、学部・大学院の連携体制を整えた点が共通しています。学部研究をそのまま修士論文へ発展させる仕組みを設けている大学もあります。
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制度化による効果と課題
期待される効果
- 大学院進学のハードルを下げ、在学年数・費用・心理的負担を軽減できる。
- 学部後半から大学院科目を履修することで、研究的思考を早期に育成できる。
- 海外大学の一貫教育と整合し、国際競争力の向上が期待できる。
- 教育と研究の連続性を制度として確保しやすくなる。
主な課題
- 学習期間の短縮による教育・研究の質保証が課題。
- 制度適用の公平性・選抜基準をどう設けるかが焦点。
- 分野によっては短縮が困難(実験・調査が必要な分野など)。
- 進度遅延への救済措置、柔軟な延長制度が必要。
- 教員の負担や研究環境の整備も欠かせない。
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家庭でできること
- 高校時代から「興味分野」や研究テーマを育てる。
- 英語・読解・データ分析など研究基礎力を早めに鍛える。
- 志望大学の5年一貫制度対応の有無を確認する。
- 成績や学習習慣を整え、先取り履修に備える。
短縮と質保証を両立させる制度設計が問われる中、この5年一貫制度は魅力的な挑戦です。ただし、形式だけの改革に終わらせず、現場が納得できる運用を重ねることが重要です。制度を急ぐより、現場の声を聞きながら育てていく柔軟な姿勢が求められます。
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📚 参考リンク
- 学士・修士5年一貫/連携制度の事例と課題(文部科学省)(アクセス日:2025-10-08)
- 広島大学「学部・修士5年一貫教育プログラム」(アクセス日:2025-10-08)
- 追手門学院大学 学部・大学院5年一貫教育制度(アクセス日:2025-10-08)
- 帝京大学 学部・修士5年一貫プログラム(アクセス日:2025-10-08)
※リンク先は変更される場合があります。最新情報は各大学・文部科学省の公式ページをご確認ください。
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担当:プロ教師 近江直樹
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