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小学校の「算数」が「数学」に変わる?〜これからの学習環境とご家庭でできること〜

朝晩はまだ冷え込む日が続く山形ですが、ご家庭での学習の様子はいかがでしょうか。暖房の効いた部屋で、お子様がじっくりと机に向かう姿を、日々の忙しい合間を縫って温かく見守っていらっしゃる方も多いことと思います。

さて、最近の教育ニュースの中で、「小学校の『算数』という教科名が『数学』に変わるかもしれない」という議論が文部科学省で始まっていることをご存知でしょうか。「えっ、小学生から数学になるの?」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。今回は、なぜこのような変化が検討されているのか、そしてご家庭でどのようにお子様をサポートしていけばよいのかを、少し深く掘り下げてお話ししたいと思います。

「算数」と「数学」の根本的な違いとは?

そもそも、算数と数学は何が違うのでしょうか。

算数は、日常生活で必要となる「正しい計算」や「正確な答えを出すこと」に重きを置いています。お買い物の際のお釣りや、時間の計算など、目に見える具体的な数字を扱う力です。

一方、数学は「なぜその答えになるのか」というプロセスや、目に見えない抽象的な概念を論理的に組み立てる学問です。負の数(マイナス)や文字式など、現実世界には直接存在しない概念を使って法則を導き出します。

これは、子どもの「脳の使い方の変化」とも深く関わっています。算数では、数字を一時的に記憶して素早く処理する「ワーキングメモリ」がフルに活用されますが、数学では、筋道を立てて深く思考する「前頭前野」の働きがより重要になります。つまり、名称を統一するということは、単に教科書の表紙を変えるのではなく、「ただの計算ドリルをこなす学習から、自ら論理的に考える学習へと、早い段階で脳の回路を切り替えていこう」という教育的なメッセージが込められているのです。

なぜ今、名称変更が議論されているのか?(中1ギャップの解消)

文部科学省がこの議論を進めている背景には、中学校に進学した途端に学習についていけなくなる、いわゆる「中1ギャップ」の問題があります。

小学校まで計算が得意だった子が、中学校の数学で急につまずいてしまうケースを、私自身も教育現場で多く見てきました。これは、頭の中で「具体的な数字」から「抽象的な論理」への橋渡しがうまくできていないことが大きな原因です。小学校の段階から「数学」という意識を持ち、「なぜこの公式になるのか?」「どうしてこの解き方になるのか?」を考える習慣をつけることで、脳の発達段階に合わせたスムーズな学習の移行ができると考えられています。学習効率の面でも、公式の丸暗記に頼るのではなく「本質的な意味を理解する」ほうが、結果的に記憶に長く定着し、応用力も身につくのです。

山形のライフスタイルを活かした「数学的思考」の育て方

山形県は、毎日の通勤や習い事の送迎など、移動は車が中心という地域性があります。また、三世代でお住まいのご家庭や、親戚・ご近所との温かいコミュニケーションの機会が多いのも特徴です。一見すると学習には関係ないように思えますが、実はこうした「大人との対話が生まれやすい環境」は、子どもたちの「じっくり考える力(数学的思考)」を育むのに非常に適しています。

では、今日からご家庭で実践できる、具体的な3つのステップをご紹介します。

  • 1. 答え合わせの後に「どうやって解いたの?」と尋ねるマルかバツかだけを確認して終わるのではなく、お子様に解き方のプロセスを言葉で説明してもらいましょう。人に教える(説明する)ことで、頭の中の論理が整理され、脳の前頭前野が活性化し、理解度が飛躍的に高まります。
  • 2. 抽象的な量や長さを「現実のサイズ」で体感させる「1メートル」や「1リットル」という単位をただ暗記させるのではなく、身近なもので例えてみてください。例えば、「1メートルは、30cm定規3本分と、あと少しだね」「A4サイズのプリントの縦の長さを3枚つなげたくらいの長さだよ」と伝えると、途端に現実味を帯びて脳に定着しやすくなります。
  • 3. 車移動の時間を「算数・数学トーク」に活用する車社会の山形ならではの工夫です。スーパーやお稽古事に向かう車内で、「制限速度が時速40kmの道を通るけど、10km先の目的地まで何分くらいかかるかな?」とクイズを出してみてください。日常の風景が数学の問題に変わることで、生活と学びが自然に結びつきます。

おわりに

「算数」から「数学」へと名前が変わったとしても、子どもたちが学ぶべき本質や、つまずきやすいポイントが急に変わるわけではありません。大切なのは、大人が「早く答えを出しなさい」と急かすのではなく、「よく考えたね」「どうしてそう思ったの?」と、考える過程そのものを認めてあげることです。

山形の温かいご家庭の関わりや、豊かな自然に囲まれた穏やかな環境の中で、子どもたちの考える根っこを一緒に育てていきましょう。少しの工夫と毎日の声かけが、きっと未来の大きな力に変わっていくはずです。

  KATEKYO学院・山形県家庭教師協会    プロ教師 近江 直樹

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