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寝ないと、受からない? 受験生の睡眠時間が合否を分ける理由と、親ができること
「うちの子、夜遅くまで机に向かっているけれど、ちっとも成績が上がらなくて……」そんなお悩みを抱える保護者様は少なくありません。深夜まで明かりがついている子供部屋を見ると、親としては「頑張っているな」と応援したくなる反面、翌朝のつらそうな顔を見て「本当にこれでいいのか」と不安になることもあるでしょう。山形県内では、塾の送り迎えや通学に自家用車を利用されるご家庭も多く、車中でのわずかな仮眠が唯一の休息になっているというお子さんの話もよく耳にします。
しかし、プロ教師として多くの受験生を見てきた経験から断言できるのは、「睡眠を削って勉強するスタイル」は、合格への最短距離どころか、むしろ遠回りになってしまうという事実です。最新の脳科学や文部科学省の調査結果からも、睡眠がいかに学習効率に直結しているかが明らかになっています。今回は、なぜ「寝ること」が「受かること」に直結するのか、そのメカニズムと今日から実践できる親御さんのサポートについてお話しします。
なぜ睡眠不足は「努力をゼロ」にするのか
私たちは、起きている間に情報をインプットしますが、その情報を「知識」として定着させる作業は、寝ている間に行われます。脳内にある「海馬(かいば:記憶の司令塔の役割を果たす部位)」は、睡眠中にその日に学んだことを整理し、長期記憶へと保存します。睡眠を削るということは、この大切な「整理保存作業」を強制終了させてしまうことと同じなのです。どれだけ高価な参考書を解いても、脳が保存作業を行わなければ、翌朝には砂時計から砂がこぼれ落ちるように記憶が失われてしまいます。
さらに、睡眠不足は感情をコントロールする「前頭葉(ぜんとうよう:思考や理性を司る部位)」の機能を著しく低下させます。文部科学省の「子供の生活習慣づくりに関する調査」等でも指摘されている通り、睡眠不足はイライラや集中力の欠如を招きます。受験生が「自分はダメだ」とネガティブな思考に陥りやすいのは、単に性格のせいではなく、脳がガス欠状態にあるサインかもしれません。特に深夜の勉強は、日中と比較して作業効率が著しく低下することが研究で判明しており、徹夜に近い状態での学習は、酒気帯び運転に近い判断力まで落ちるとも言われています。
合格を引き寄せる「睡眠マネジメント」のメカニズム
では、具体的にどれくらいの睡眠が必要なのでしょうか。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、中高生に対して「8〜10時間」の睡眠を推奨しています。受験生にとって8時間の確保は容易ではないかもしれませんが、最低でも7時間を死守することが、脳のパフォーマンスを最大化する鍵となります。睡眠には「レム睡眠(体は寝ているが脳が動いている状態)」と「ノンレム睡眠(深い眠り)」のサイクルがありますが、このサイクルを適切に繰り返すことで、記憶の統合とメンタルの回復が同時に行われるのです。
また、質の良い睡眠は「成長ホルモン」の分泌を促します。これは単に身長を伸ばすだけでなく、脳細胞の修復やストレスからの回復にも不可欠です。親御さんができる最大のサポートは、お子さんに「早く寝なさい」と叱ることではありません。「寝ることも立派な受験勉強の一部である」という共通認識を持つことです。夜11時に寝て朝6時に起きるというサイクルを定着させることができれば、脳は試験本番が行われる午前中の時間帯に、最も高い集中力を発揮できるようになります(これを「朝型シフト」と呼び、本番に強い脳を作る基礎となります)。
今日から始める実践ステップ
お子さんの睡眠の質を高めるために、今日から以下のステップを試してみてください。
- スマホの「お休みホーム」を作る: 就寝の60分前には、スマートフォンをリビングの充電器に戻し、自室には持ち込まないルールを徹底しましょう。液晶の光は脳を覚醒させます。
- 入浴時間を「逆算」して調整する: 布団に入る90分前までに入浴を済ませます。一度上がった深部体温が下がるタイミングで、眠りの質が格段に向上します。
- カーテンをB5ノートの横幅分(約18cm)だけ開けて寝る: 朝、日光が自然に部屋に入るようにします。光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜に自然な眠気が訪れるようになります。
- 「暗記モノ」を枕元に置く: 就寝直前の15分間だけ英単語や歴史の暗記を行い、そのまま眠りにつきます。これは「睡眠による記憶の定着」を最大限に活かす最も効率的な学習法です。
まとめ
受験勉強はよくマラソンに例えられますが、睡眠はランナーにとっての「給水」と同じです。給水を惜しんで走り続ければ、いつかは倒れてしまいます。保護者の皆様には、お子さんが「寝るのが不安」と言ったときこそ、「今日頑張ったことを脳に覚えさせるために、しっかり休もうね」と、自信を持って背中を押してあげてほしいと思います。私たちKATEKYO学院のプロ教師も、ただ教えるだけでなく、一人ひとりの生活リズムに合わせた無理のない学習計画を一緒に考え、合格まで伴走してまいります。
参考資料
文部科学省:子供の生活習慣づくりに関する調査報告書(睡眠・学習時間の関連)
Yahoo!ニュース:寝ないと、受からない? 受験生の睡眠時間が合否を分ける理由
KATEKYO学院・山形県家庭教師協会 プロ教師 近江 直樹
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