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山形県の人口減少と教育への影響 ― 持続可能な学びの仕組みをどう築くか

2025 年 5 月、山形県の人口が105 年ぶりに 100 万人を下回り
99 万 9,378 人となりました。
自然減に加え、15~24 歳の若者流出が社会減の 7 割超 を占めるなど、
教育を終えた若者が県外に流れる構造が続いています。
本稿では人口減少が学校現場にもたらす具体的影響と、県が進める
高校再編・県外生受入れ・ICT 活用
などの対策を整理し、持続可能な教育体制への道筋を考えます。
1. 加速する人口減少と将来推計
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2050 年に 71 万人、2070 年には 49 万人
まで減少すると予測されています。人口 100 万の大台割れは全国で 12 番目、
東北では秋田県に次いで 2 県目です。
2. 学校数減少と教育機会の縮小リスク
小学校は 10 年で 292→223 校(▲23.6%)、中学校は 112→94 校、高校も 63→60 校に減少。
小規模校では複式学級や教科担任確保が課題となり、部活動や合唱・演劇など集団活動の
機会も限定されがちです。学校統廃合は地域コミュニティの衰退を招く懸念もあります。
3. 山形県の教育改革と活性化策
(1) 高校再編と学びの多様化
県立高校再編整備基本計画に基づき、総合学科・総合選択制を拡充。
- 新庄神室産業・酒田光陵・村山産業…農・工・商を横断的に履修可
- 遊佐高校…普通科→総合学科へ改編し地域連携型キャリア教育
小規模校同士が合同で探究発表や講演会を行うキャンパス制も実施しています。
(2) 県外生受入れ枠の拡大
2026 年度入試から県外枠を13→23 校に拡大。
小規模校は定員の 15→25%、中規模校にも 5%枠を新設し、
寮費補助・通学バス助成・キャリアガイダンスで支援。
定員割れ校に多様な学びと活力を呼び込む狙いです。
(3) ICT と教育 DX の推進
GIGA 端末整備を基盤に、第 7 次県教育振興計画は遠隔協働授業・データ分析の導入を掲げます。
小規模校でも都市部の専門教員や企業人材とオンライン連携し、
個別最適化学習と地域探究を同時に進める体制づくりが進行中です。
(4) 幼児~高等教育の一貫育成
幼児教育センター設置、幼保小連携「架け橋プログラム」、
大学との Uターン就職促進・長期インターンなど、
地域循環型の人材育成策も強化されています。
4. 今後の課題と展望
人口減は不可逆的ですが、「数」を補うのではなく「質」と「機会」をどう確保するかが
これからの論点です。遠隔教育や地域資源を活用した独自プログラム、
他県・海外とのオンライン交流など、枠を超えた発想が鍵になります。
山形県が掲げる「ウェルビーイング×持続可能な人づくり」には、
学校・家庭・地域・企業が連携した 共創型の教育モデル が不可欠です。
人口減という現実を超え、子どもたちの可能性を最大化する仕組みづくりを
私たち大人が一緒に考え、行動することこそが、地域の未来を拓く力になります。
【引用資料】
・毎日新聞「山形県人口 100 万人割れ」
https://mainichi.jp/…
・山形県立高校再編整備基本計画(PDF)
基本計画
・第 7 次山形県教育振興計画(概要)
振興計画概要
※掲載しているリンクには有効期限がある場合があります。最新情報は山形県公式サイト等でご確認ください。
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担当)プロ教師 近江直樹
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