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「やる気」を待つのはもう終わり?――脳科学から見た、山形の子どもたちが「机に向かいたくなる」儀式の作り方

仕事終わりの夕方や、部活帰りのお子さんを車で送迎する車内。「帰ったら宿題やるのよ」と声をかけても、「わかってるって」と気だるそうな返事。そして家に着けば、ソファでスマートフォンを手放さず、なかなか机に向かおうとしない……。そんな我が子の姿に、「いつになったらやる気を出してくれるの?」とヤキモキしている保護者の方は多いのではないでしょうか。

お子さんが自ら進んで勉強してくれたら、どんなに安心することでしょう。しかし、「やる気が出るのを待つ」というアプローチは、実は脳科学的に見ると大きな誤解を含んでいます。今回は、お子さんが自然と机に向かいたくなるメカニズムを紐解いていきます。

なぜ「やる気」は待っていてもやって来ないのか

多くの方が、「やる気が出ないから行動できない(勉強できない)」と考えています。しかし、脳科学の観点では、この順番は全く逆であることがわかっています。「行動するから、やる気が出る」というのが、脳の本来の仕組みなのです。

人間の脳には「側坐核(そくざかく)」と呼ばれる、意欲やモチベーションを司る小さな部位があります。この側坐核は、ただじっと待っていても活動を始めてくれません。手足を動かす、作業を始めるなど、外部からの「物理的な刺激」を与えて初めてスイッチが入り、意欲を高める神経伝達物質(ドーパミンなど)を分泌し始めます。つまり、お子さんがソファでじっとしている限り、どれだけ待っても「やる気スイッチ」が勝手に押されることはないのです。

「作業興奮」を利用した学習へのアプローチ

この、行動を始めることで徐々に意欲が高まっていく現象を、心理学や脳科学の用語で「作業興奮(さぎょうこうふん)」と呼びます。ドイツの心理学者クレペリンによって提唱された概念で、最初は面倒だった部屋の片付けも、いざ始めてみると止まらなくなり、気づけば部屋中をピカピカにしてしまった……という経験がまさにこれに当たります。

学習においても、この「作業興奮」を意図的に引き起こすことができれば、「やりなさい」と叱る必要はなくなります。重要なのは、最初の「5分」だけ、いかに心理的ハードルを下げて行動を起こさせるか、ということです。脳の側坐核が刺激を受け、ドーパミンが分泌され始めるまでには、およそ5分から10分程度の作業が必要だと言われています。

そのためには、お子さんにとって「これならすぐにできる」「まったく負担にならない」と思えるような、小さな行動(儀式)からスタートさせることが効果的です。「よし、今から2時間勉強するぞ」という大きな目標は、かえって脳を萎縮させ、行動を先延ばしにする原因となってしまいます。

今日からできる!「机に向かいたくなる」3つの儀式

  • 【儀式1】「とりあえず筆箱を開ける」を最初の目標にする
    「勉強を始める」という漠然とした行動ではなく、「机に座って筆箱を開ける」という極めて具体的な物理的動作を最初のステップにします。筆箱を開け、お気に入りのシャーペンを握るという手の運動が、側坐核への最初の刺激となります。
  • 【儀式2】「得意な教科の簡単な問題」から着手する
    いきなり苦手な応用問題に手を付けるのは控えましょう。最初の5分間は、漢字の書き取りや英単語の音読、あるいは得意な教科の簡単な計算問題など、「頭を使わなくても手が動く作業」に徹してください。正解を重ねることで小さな達成感が生まれ、ドーパミン分泌が加速します。
  • 【儀式3】「5分経ったらやめてもいい」というルールで誘う
    「どうしても気が乗らない日は、まずは5分だけやってみて、それでも嫌ならやめてもいいよ」と伝えてみてください。人間の脳は未完成の作業に執着を持つ性質があります。実際に5分手を動かしてみると、作業興奮が起こり「せっかくだからこのページまでは終わらせよう」と、そのまま学習を継続できるケースがほとんどです。

まとめ:行動が変われば、やる気は後からついてくる

お子さんが勉強に気が乗らないのは、決して性格の問題や怠け癖のせいではありません。単に、脳の仕組みをうまく使えていないだけなのです。「やる気を出しなさい」という言葉を、「とりあえずテキストだけ広げてみようか」という具体的な行動の提案に変えるだけで、親子のコミュニケーションは劇的に変化します。

私たちKATEKYO学院のプロ教師も、まずは生徒がスムーズに鉛筆を握れるような「最初の5分の環境づくり」から丁寧にサポートしています。保護者の皆様も、ぜひ今日から「小さな儀式」の導入を試してみてください。お子さんの頼もしい変化が、きっと見られるはずです。

参考資料

【スタディブレイン:「やる気が出ない」は脳の仕組み?サボり癖を科学でぶっ壊す方法】

【株式会社IWO:やる気は”やってから”生まれる?作業興奮の仕組み】

【KATEKYO学院・山形県家庭教師協会 公式サイト】

KATEKYO学院・山形県家庭教師協会 プロ教師 近江 直樹

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