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故事成語の世界へようこそ(三十二)覆水盆に返らず
第三十二回:「覆水盆に返らず(ふくすいぼんにかえらず)」
朝晩涼しい、というよりむしろ寒いくらいの季節になりました。
そろそろ大学受験生にとっては共通テスト100日前、高校受験される方にとっては公立高校の入試まで5カ月をきる頃ですね。
夏休みの学習の成果も出てきている頃かと思います。
残り期間の計画を確認し、一歩一歩着実に進んでいきましょう。
さて、今月は、「覆水盆に返らず(ふくすいぼんにかえらず)」をご紹介していきます。
皆さん、一度は聞いたことのある言葉かと思います。
今回は、この故事成語ができた背景とその意味を確認していきましょう。
昔、中国の周という国に呂尚(りょしょう)という男性がいました。
呂尚はくる日もくる日も読書ばかりして、仕事に専念することがありませんでした。
そのため呂尚の妻は愛想を尽かしてしまい、自らの希望で呂尚と離婚することになりました。
その後、呂尚は斉(せい)の国の諸侯となり、領地を持つことになりました。
すると、呂尚は水の入った盆を取ってその水を地に流し、元の妻に
「その水をすくって盆に戻して下さい」と言いました。
元の妻は水をすくおうとしますが、水は地面に染み込んでおり、
ただ泥しかすくうことができません。
そこで呂尚は、元の妻にこのような言葉をかけるのです。
「あなたが私と離婚して今復縁しようとしても、
それはこのこぼれた水を盆に返すようなものだ。
一度こぼれた水はまた再び盆に戻すことは出来ない。」と。
このように、一度離縁した夫婦の仲は再び元に戻すことはできないということを、
覆水盆に返らずと表現しているのですね。
ちなみにこの「盆」とは現在のように平たいものではなく、「水や液体を入れる容器、つぼ」といった意味もあるようです。
また、この呂尚は「太公望(たいこうぼう)」とも呼ばれる有名な政治家の名前です。
太公望の方が聞いたことがある、という人もいるかもしれませんね。
さらに、「覆水盆に返らず」は、元の意味だけでなく、「一度してしまったことは取り返しがつかないこと」の例えとしても用いられますので、覚えておきましょう。
本日の故事成語:覆水盆に返らず…一度離縁した夫婦の仲は元には戻らないということ。転じて、一度してしまったことは取り返しがつかないこと。
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