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故事成語の世界へようこそ(三十六)右に出る者がない
第三十六回:「右に出る者がない」
本日は右と左についてのお話です。
現代語でも「左右する」「右から左」「左右の手を失うが如し」など、右や左に関する言葉は多く残っています。
また、漢文では、「左右」といえば「側近」の意味になるのはよく知られていますよね。
では、右と左では、どちらが上なのでしょうか?
中国の歴史書『史記』には、こんなエピソードがあります。
漢の高祖(劉邦)が趙という国に行った時のこと。
高祖の暗殺計画を企てたとして、趙王とその臣下が捕らえられてしまいます。
後に趙王はその企てに無関係だったことが分かり、釈放されるのですが、
その際、高祖が趙王の臣下に会って話をしてみると、全員素晴らしい人物で、
「漢の臣下で彼らの右に出る者はいない」程でした。
これはどのようなことを表しているのでしょうか。
趙王の臣下は全員素晴らしい人物です。
その素晴らしい人物の「右に出る人」つまり「並び立つ人」が漢にはほぼ居ない、
というように読めますね。
「右に出る者がいない」とは、「その人に匹敵する人物がいない程、その人が優れている」ことを表しているのです。
基本的にはある分野で一番優れている人に対して使う表現になります。
このエピソードは、漢の時代には右が左よりも上位だったことを示しています。
ただし、同じ中国でも唐の時代には左が上位となり、その文化が日本に伝わるなど、
同じ国でも時代によって右上位か左上位かは異なるようです。
興味のある方はぜひ色々と調べてみて下さいね。
本日の故事成語:右に出る者がない…その人よりも優れた人がいない様子。
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