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「隠れ睡眠不足」が学習に与える影響と、今日からできる改善策
「毎日忙しいけれど、うちの子はなんとか元気に学校に通っているから大丈夫」。そう安心している保護者の方は多いのではないでしょうか。しかし、受験勉強や部活に一生懸命な生徒の多くが、自覚のないまま深刻な「睡眠不足」に陥っている可能性があります。
山形県では、部活や塾のあとに保護者の方が車で送迎されるご家庭も多く、帰宅して夕食やお風呂を済ませると、あっという間に夜遅い時間になってしまいますよね。子どもたちの頑張りを一番近くで支えている保護者の皆様だからこそ、日々の生活習慣の中で見落とされがちな「睡眠の質と量」について、一緒に考えてみませんか。
「なんとなく眠い」が招く集中力低下のメカニズム
中学生以上になると、「少し夜ふかししても大丈夫」「週末にたくさん寝れば回復する」と考えがちです。しかし、睡眠不足が脳に与えるダメージは、私たちが想像する以上に深刻です。
アメリカの研究機関で行われた有名な実験では、驚くべき結果が報告されています。「6時間睡眠を2週間続けた場合、脳の集中力や注意力は2日間徹夜した状態とほぼ同じレベルまで衰える」というのです。2日間徹夜した状態は、アルコールを何杯も飲んで酩酊(めいてい)している状態の脳の働きに近いとも言われています。問題なのは、短期間の徹夜であれば「今日は頭が働かない」と自分でも気づくことができるのに対し、慢性的な睡眠不足の場合は「普通に頭は働いている」と錯覚してしまうことです。この「自覚なき集中力低下」に陥ると、ケアレスミスが増えたり、授業を聞いていても頭に入らなくなったりします。
また、厚生労働省のガイドラインによれば、中学生・高校生の時期に必要な睡眠時間の目安は「8時間から10時間」とされています。脳の神経回路が猛スピードで発達し、記憶を定着させるこの重要な時期において、睡眠時間が不足することは、学習のパフォーマンスを大きく下げる原因となるのです。
睡眠改善の鍵は「自分の睡眠パターンの可視化」
では、具体的にどのように改善していけばよいのでしょうか。その第一歩は、「自分の睡眠を記録して見える化すること」です。
人間の脳は、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)を繰り返しながら、日中に学んだ情報や記憶を整理し、脳に定着させています。質の高い睡眠をとるためには、ただ長く布団に入っていればよいわけではなく、規則正しい生体リズムを作り、脳がしっかり休まる状態を整える必要があります。自分の睡眠を記録してみると、思わぬ偏りに気づくことができます。
たとえば、「平日は無理をして起きている分、休日はお昼近くまで寝てしまう」というケースは非常に多く見られます。しかし、休日の「寝だめ」は睡眠の負債を返すどころか、体内時計を狂わせてしまい、月曜日の朝に強いだるさを引き起こす原因になります。まずは、就寝時間と起床時間を紙に記録し、保護者と生徒が一緒に「生活のリズムが一定に保たれているか」を確認することが、最も効果的な解決策の糸口となります。
今日からできる!学習効果を高める睡眠改善3ステップ
慢性的な睡眠不足を解消し、脳をスッキリさせて学習に向かうために、ご家庭で実践できる具体的なステップをご紹介します。
- ステップ1:まずは1週間、起床・就寝時間を記録する
細かく書く必要はありません。「昨日は夜11時に寝て、朝6時に起きた」という事実だけをカレンダーやノートに記録してください。毎日のパターンを客観的に見ることで、「意外と寝ていないな」という事実に親子で気づくことができます。 - ステップ2:「早寝」ではなく「早起き」からリズムを作る
いきなり早く寝ようとしても、脳はすぐに切り替わりません。まずは、休日であっても平日と同じ時間に「起きる」ことから始めてください。朝の光を浴びることで体内時計がリセットされ、およそ15時間後に自然と眠気が訪れるようになります。「休日の朝も、まずはカーテンを開けて朝食をとる」という行動を基準にしてみてください。 - ステップ3:寝る前30分の「デジタルデトックス」を習慣にする
寝る直前までスマートフォンやタブレットの強い光(ブルーライト)を浴びていると、脳が「まだ昼間だ」と勘違いし、睡眠を促すホルモンの分泌が妨げられます。寝る前30分は画面を伏せ、明日の持ち物を確認したり、軽いストレッチをしたりして、脳をリラックスさせる「アナログな時間」を作りましょう。
健やかな睡眠が、志望校合格への一番の近道
睡眠は決して「削っていい時間」ではなく、日中の学習成果を脳に定着させるための「大切な総仕上げの時間」です。特に受験を控えた生徒さんにとって、焦りから睡眠時間を削りたくなる気持ちはとてもよくわかります。しかし、万全の脳の状態で机に向かうことこそが、結果的に最大のパフォーマンスを生み出します。
毎日忙しい中学生とその保護者の皆様、まずは今夜、何時に布団に入るかをご家庭で話し合ってみてはいかがでしょうか。KATEKYO学院では、一人ひとりの生活リズムにも気を配りながら、最適な学習ペースを一緒に見つけていくサポートを行っています。無理なく、着実にステップアップしていきましょう。
参考資料
PRESIDENT Online:6時間睡眠を2週間続けると集中力は酩酊状態レベルに…自分では気づかない睡眠不足の深刻なダメージ
厚生労働省:Good Sleepガイド(健康づくりのための睡眠ガイド2023)
KATEKYO学院・山形県家庭教師協会 プロ教師 近江 直樹
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