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我が家の本棚Ⅻ 【ぬいぐるみの猫編】

今回は、本物の猫になりたいと望んだぬいぐるみの猫「ニャンコ」と、本物の猫になるための旅で出会う本物の猫たちとの触れ合いを描いた絵物語
【せかいいちのねこ 絵と文 ヒグチユウコ 白泉社】を紹介します。
著者のヒグチユウコ氏は美術大学卒業の画家で、すべてのページにとても素敵でいまにも鳴き声が聞こえてきそうな猫や犬やおもちゃなどの挿し絵が満載です。
すべての猫と犬にはモデルがいるようで、猫の表情、とくに目は、まるで本物の猫のようです。
持ち主の男の子がそろそろぬいぐるみに飽きる年齢になったことで、ずっと仲良しでいられる方法を考えていたニャンコ。
友だちのおもちゃに本物の猫になればいいと言われてなるほど!と思ったニャンコは、本物の猫になる方法として猫のヒゲを自分の綿と一緒にすればいいと聞き、ヒゲを集めに出かけます。
同じ家で飼われている猫は意地悪でいつもニャンコのことをバカにしています。
でも飼い主の男の子の母親にだいじにされかわいがられていることが、ニャンコにはおもしろくありません。
旅先でニャンコは、かわいくないとたくさん言われ帽子をふかくかぶってひとりで暮らしている猫、にぼしと引き換えにヒゲをくれる食いしん坊の猫、友だちとはぐれて泣いているニャンコを抱きしめてくれるやさしい猫、旅をする大きな猫など、個性あふれるさまざまな本物の猫たちと出会います。
そして、意地悪な猫に対するニャンコの気持ちが少しずつ変化していきます。
はぐれた友だちを探して何日も家に帰らなかったニャンコに、ヒゲを渡して意地悪な猫が言います。『早く帰ってこい』
旅の終わりに意地悪な猫はニャンコを抱いて言います。
『おまえの不安なきもちはおれもほかのねこもみんなもっているんだよ』
『だいじょうぶ。おまえはもうりっぱなせかいいちのねこだから』
たくさんの出会いと経験から、ニャンコは大事な何かに気づきます。
それは人間社会にこそ言えること。それをニャンコを通じて教わったような気がしました。
絵を見るだけでもあたたかい気持ちになれる、疲れた心を癒してくれる、そんな一冊です。
~工藤先生より~

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