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故事成語の世界へようこそ(三十三)井蛙(せいあ)
第三十三回:「井蛙(せいあ)」
今回は「井蛙(せいあ)」という故事成語についてお話ししたいと思います。
読みが難しい言葉ですが、井戸の「井」に「蛙(かえる)」の組み合わせですので、
漢字から意味を推測できる方もいるかもしれませんね。
日本のことわざの中でも非常に有名なあのことわざの、もとになった故事成語です。
中国の戦国時代。道家思想の中心人物とされる荘子(そうし)の書『荘子』には、
こんなお話が書かれています。
ある時、黄河の神である河伯が生まれて初めて海を目にします。
河伯はそれまで黄河が世の中で一番大きいと思っていたのに、海はなお広大で果てが見えません。
河伯は驚いて、海の神に言いました。
「このように広いものがあるとは、全く知らなかった。」
すると海の神はこう返します。
「井戸の中に住んでいる蛙に海のことを話しても、蛙には理解できない。
それは井戸という狭い世界にとらわれているからだ。」と。
河伯がそれまで黄河が一番大きいと思っていた様子を、
井戸の中のに住む蛙に例えたのです。
このように、狭い範囲のことしか知らず見識の狭いこと、またはその人を例えて「井蛙(せいあ)」と呼ぶようになりました。
日本で使われる「井の中の蛙大海を知らず」は、この故事がもとになっています。
合わせて覚えておきたいですね。
本日の故事成語:井蛙(せいあ)…狭い範囲のことしか知らず、見識の狭いこと。またはその人。
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