TOPICS from KATEKYO

  • TOP
  • TOPICS
  • 我が家の本棚Ⅶ 【54字編】

我が家の本棚Ⅶ 【54字編】

今回は9マス✕6行の原稿用紙に綴られInstagramで話題となった「#インスタ小説」の書籍版【54字の物語】(氏田雄介 作 佐藤おどり 絵 PHP研究所)を紹介します。
この本、はじめは母が孫にと買ってきてくれたものでしたが、その後、本屋で他のシリーズを見つけると「これ読んでない、買って!」と言われるはめになり、我が家にあるのは、参、怪、史と合わせて4冊、漢字にはすべてふりがながふってあるので小学生にも読みやすく面白いようです。
54字の短い物語に隠された意味を考えながら読み、次のページの解説を読んで「なるほど〜。」と思ったり「え〜、そうなの〜?」と思ったりしながら、さくさく読み進めることができます。
物語自体は『世界一短いかもしれない超短編小説』とある通り、小説と言えるのか?というくらいあっけなく(54字ですから)終わってしまうのですが、解説によって奥深さが加わるように感じます。
『未開の星に高度なテクノロジーが伝来した。今までの馬車に代わり、本物そっくりの精巧な馬型ロボットが開発された。』
解説『いきなり産業革命 (略)…どんなに素晴らしい技術があっても、今ある常識を一度捨てないと、新しい発明は生まれないのです。』
『詐欺に騙されないテクニックが見につくというセミナー。受講料の数十万円を先に支払ったが、まだ案内状が届かない。』
解説『詐欺対策詐欺 (略)…詐欺に騙されないぞ!と意気込むあまり、視野が狭くなり、見事に騙されてしまったのです。』
『「今までにない斬新なアイデアをだしてくれ」と言われて提案した企画が却下された。「前例がないから何とも言えん」』
解説『斬新と前例 (略)…「今まで世の中になかったアイデア」と「世の中に前例のあるアイデア」。果たして、この両方の条件を満たすアイデアを、上司自身は出すことができるのでしょうか?』
単純に笑えるもの、社会的日常的にあるよな〜と共感するもの、ゾクッとするようなもの、いろいろなパターンの『54字の物語』がつまっています。
54字でよく伝わる内容もあればそういうことだったの?と思うものもあり、短い言葉の中に作り手の想いや表現したい情景を巧みに盛り込む、そしてどう感じ取るかを読み手の感性に委ねる、短歌や俳句と似ているところもあるように思いました。
巻末には54字の物語の作り方も紹介されています。『シチュエーションを決め』『「普通じゃない」状況を考えよう』とあるように、完全なフィクションももちろん面白いですが、日常のちょっとした出来事、うれしかったこと、悲しかったこと、不思議に思ったことなどを日記のような感覚で書いてみるのも良いのではないかと思いました。あとで読み返した時に、自分はこの時この54字にどんな想いを込めたのだったろうと振り返り、果たして自分が書いた物語に正しい解説を加えることができるのかどうか、試してみるのも面白いのではないでしょうか。
~工藤先生より~

「TOPICS from KATEKYO山形」一覧へ

最新のTOPICS

ページのトップへ