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我が家の本棚 XV 【家出編】

我が家の本棚 ⅩⅤ 【家出編】
今回は、現在中学生の息子が小学校1年生の時に買った、その年の低学年の部の課題図書の1冊、
【どこかいきのバス 井上よう子 作 くすはら順子 絵 文硏出版】です。
母親とけんかをして家出をした〈ぼく〉の前に現れたのは、「どこか」行きのバス。
でもそのバスは、潜水艇になって海の中を進み〈ぼく〉を無人島に連れていき、飛行船になって空を飛んで〈ぼく〉を神社の境内に連れて帰ります。
そんな不思議なバス、実は母親に叱られて家出をした子だぬきでした。
〈ぼく〉が家出した原因は、母親が〈ぼく〉の宝物を捨てたことでした。
おとなにはただのガラクタやゴミにしか思えないような物でも子どもにとってはだいじな宝物。
それを片付けないからと勝手に捨ててしまった母親と悔しくて悲しくてたまらないのに言い返すこともできない子ども。
どの家庭でもありそうな出来事です。
『かたづけないならすてるって、おかあさんいったよね?』
『ぼくはおかあさんの「いったよね?」がだいっきらい。いつだってまちがっているのは、ぼくだ。』
「〜って言ったよね?」というひと言、自分も子どもたちを叱る時にはよく使うな〜と思いました。
それが時には、特に子どもなど立場的に弱い相手に使う場合には、〈ぼく〉が感じたように無意識とはいえ相手を萎縮させてしまっている、伝えたいことを言えなくさせてしまっているのかもしれないと思うと、使い方に気をつけなければいけないと反省しました。
「片付けないなら捨てる」も、子どもたちが小さい頃にはよく言っていました。
実際に捨てたことはないですが、隠しておいて、本当に反省してるなと感じた時に隠してあることを言って探させて。また、古い月刊コミックをまとめて箱に入れていたのを、もう捨てるものと勘違いした母がゴミに出してしまったことがありました。
子どもたちは時々見たくなるから全部残していたのにと、それはもうたいへんな怒り様、悲しみ様でした。そんなことも懐かしく思い出しました。
しばらく遊ばないからいらないだろうと思っていたら出してきて遊んだり、何かのきっかけで思い出してどこにあるんだっけ?と見つけるまで一生懸命探したり、子どもたちを見ていると子どもにはおとな以上に断捨離って難しそうだなと感じます。
子だぬきの家出の原因は、お祭りのおだんご作りを手伝おうとしたのを盗み食いしようとしたと思われて、母親に叱られたことでした。
ごまかすために嘘をついてしまうこと、それはいけないこととわかっていても、叱られないために思いついた言い訳を口にしてしまう、そんなことは子どもにはよくあることと思います。
ですが、家出するほど悔しかったのならそれは本当だったのでしょう。
叱る前に事実を確かめること、子どもの言い分にも耳を傾けること、言い訳のための嘘か真実かを見極めることが大事とあらためて思いました。
〈ぼく〉と子だぬきの家出は、お腹が空いた頃、互いの母親の手料理自慢で終わります。
『「そろそろ、かえってやるか。」』
『「家出、たのしかったなあ。」』
低学年の子どもがこの本を読んで感じるのは、冒険のワクワク感や〈ぼく〉や子だぬきへの共感と思いますが、わたしは、子供向けの本を親の立場で読むことで自分が子どもだった時の気持ちを思い出したり子どもに対する姿勢を振り返ることができれば、気持ちの理解や適切な接し方のヒントが得られるのだなと感じました。
~工藤先生より~

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