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故事成語の世界(四)『怒髪冠を衝く』[中学生-国語]
第四回:「怒髪冠を衝く」
火曜日恒例、故事成語の世界へようこそ!
今週も中学生に覚えてほしい故事成語をご紹介します(^-^)
第四回目の本回は、「怒髪冠を衝く」についてお話しします。
前回の「完璧」で登場した藺相如が、いかにして強国である秦から趙の宝である璧を守ったかのお話です。
■穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって・・・
「秦の十五の都市をあげるから、趙の宝である璧をくれ」という秦の策にのったフリをして、璧を携え秦に行った藺相如。
秦の昭王は璧を受け取ると、周りに見せびらかしているばかりで全く交換条件の話をしようとしません。
これを見て「やはり昭王は趙を騙して璧を奪い取るつもりなのだ」と考えた藺相如は一計を案じました。
藺相如は昭王にこう言います。
「実は、その璧にはごく小さな傷がございます。分かりにくい場所ですので私がお教えしますから、ちょっとよろしいですか」と。
(もちろんこれは嘘なのですが)
昭王から璧を受け取るやいなや、彼は璧を抱えて柱の後ろに猛ダッシュ!
そしてこう言い放ちました。
「大王(昭王)が趙を騙そうとするなら、今すぐ璧と自分の頭を柱に打ちつけて粉々に砕いてしまうぞ!」
そう言って昭王の対応を非難する藺相如は、怒りのあまり髪が逆立ち冠を押し上げるほどでした。
藺相如のあまりの剣幕に、「これはさすがにまずい」と思ったのでしょう。
昭王は改めて十五城を差し出すことを約束しますが、藺相如はもはや昭王を信じる気はありませんでした。
彼は自分が璧を肌身離さず持っていると見せかけて、密かに別の者に璧を託します。
藺相如が時間稼ぎをしている間に、璧は無事に趙に戻ってきたのでした。
この時の藺相如の強い怒りを表す言葉が「怒髪冠を衝く(または怒髪天を衝く)」という表現になりました。
本当に髪がそんなに逆立ったのかとか、「頭を柱にぶつけて粉々に」って過激過ぎではとか、色々と気になる部分はありますが、とにかく藺相如の働きによって璧は守られたのですね。
ちなみに、璧をだまって趙へと返してしまった藺相如(普通なら物理的に首が飛ぶところです…)ですが、昭王はその死をも恐れない度胸に免じて彼を生かして趙へ帰してあげたということです。
藺相如に関する故事成語は実はもっとあるのですが、次回は一旦彼から離れて別の故事成語についてお話しようと思います。
それではまた次回お会いしましょう(^-^)
★本日の故事成語:怒髪冠を衝く
激しい怒りのために逆だった髪の毛が冠をつきあげる様子。強い怒りの表現。
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